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コラム

【電力分野】アグリゲーターとは?VPPやDRとの関連性・主な機能

2021.10.20

今や、世界中でエネルギーの枯渇問題やCO2(二酸化炭素)の排出量の増加問題が挙げられています。また、自国でのエネルギー資源や供給量が特に少ない日本では、新たなエネルギーとして「再生可能エネルギー」が注目されていることが特徴です。

そして再生可能エネルギーの普及に伴い、電力の需要と供給のバランスを保つことはさらに重要視されました。電力の需給バランスを最適化するために、「アグリゲーター」が注目されています。

そこで今回は、電力分野におけるアグリゲーターの概要から、主な提供機能、さらに事業の普及拡大に向けて注目されている「アグリゲーション・ビジネス」まで徹底的に解説します。地球環境の改善・新たなエネルギーにまつわるビジネスの関連情報を詳しく知りたいという人は、必見です。

 

1.アグリゲーターとは?

電力・電気業界におけるアグリゲーターとは、「集める」といった意味をもつ「アグリゲート(aggregate)」から生まれた造語(役割)で、電力需要家の需要バランスをとりまとめ、効果的かつ安定的に電力エネルギーを提供する事業者を指します。いわゆる「電気の需給バランスを束ねる中間事業者」です。

アグリゲーターの主な役割・仕事内容は、下記の3つが挙げられます。

(1)余剰電力の売却・還元(ネガワット取引)
アグリゲーターは節電された電力や余剰電力、いわゆるネガワットを集めて電力会社に売却し、その費用の一部を電力事業者・需要家に還元します。この取引を「ネガワット取引」と言い、アグリゲーターの主な仕事の1つです。ネガワット取引を行うアグリゲーターは、「ネガワット事業者」とも呼ばれます。
(2)ピーク時の電力需要制限
原則として、大型発電施設では大量の電力を貯蔵することができません。そのため、電力需要のピーク時に備えて、対応できる規模の設備が必要です。しかしピーク時に対応する設備を導入することで、かえって通常時に無駄な発電が生じてしまいます。

アグリゲーターは、発電の無駄を防ぐために一般家庭や各事業所といった需要家に節電を呼びかけ、電力需要を制限します。発電施設がピーク時に備えて規模を拡大する必要性がなくなり、結果として無駄な発電を減らすことが可能です。

(3)新たな電力需要の創出
再生可能エネルギーは、CO2排出量の削減ができ地球環境によい影響を与えるものですが、全国で需要が高まっているとはまだまだ言えません。高い需要がなければ普及拡大も見込めないため、アグリゲーターは新たな電力需要の創出も行います。例えば、発電システムから再生可能エネルギーが多く発電された際は、電力事業者と需要家をつなげて新たに需要を生み出します。

 

1-1.アグリゲーションと「VPP」「DR」の関連性

アグリゲーターの主な仕事であるアグリゲーション事業は、「VPP」「DR」と深い関わりをもっています。下記に、アグリゲーションとVPP・DRの関連性を説明します。

〇VPP

VPP(Virtual Power Plant/バーチャルパワープラント)は、各家庭や事業所に設置された小規模発電施設を、ICT・IoT技術を用いて集約させ、1つの発電施設としてまとめるように制御する技術です。「仮想発電所」とも呼ばれています。

このVPPにおいて、アグリゲーターは「リソースアグリゲーター」「アグリゲーションコーディネーター」といった2つの役割を果たします。各電力需要家と契約して、電力のリソース調整を行うのがリソースアグリゲーターで、リソースアグリゲーターが制御した電力量をまとめ、小売電気事業者などと電力の取引を直接行うのがアグリゲーションコーディネーターです。

〇DR

DR(Demand Response/デマンドレスポンス)とは、需要家側のエネルギーリソース(DSR)の保有者、もしくは第三者がエネルギーリソースを制御して電力需要パターンを変化させることです。いわゆる、電力の需要と供給バランスを束ねるというアグリゲーターの主な取り組みを総称した言葉と考えてよいでしょう。

DRでは、需要制御のパターンにより、「下げDR」と「上げDR」の2つに区分されます。名前のとおり、下げDRは需要を抑制する役割で、上げDRは需要を創出する役割です。また、下げDR・上げDRにも細かなパターンがあり、前述したネガワット取引は下げDRの中の「インセンティブ型」にあたります。

 

2.アグリゲーターの主な提供機能2つ

アグリゲーターが提供する機能は、主に下記の2つに分けることが可能です。

(1)市場参画をさせる機能
アグリゲーターは、需要家に設置されたリソースを、需要家に向けた停電対策やピークカットのみならず、市場でも活用できるようにする必要があります。多数のリソースを制御し、小売事業者や各種市場と取引を直接行います。

市場参画をするアグリゲーターは、電力システムの安定性を損なわないよう、取引における信頼性を確保したうえでリソースを運用しなければなりません。市場のルールに則った公平な計量・清算処理が必要です。

(2)リソース間運用を最適化させる機能
アグリゲーターはリソース間取引において、多様な活用方法を用いてリソースの保有者にあらゆるメリットを提供する必要があります。リソース間運用を最適化させるためにも、アグリゲーターはサービス内容に応じて適切なシステムやプラットフォームをリソースの保有者に提供しなければなりません。

上記のように、アグリゲーターには市場・アグリゲーター・リソース間と公正な取引を行うこと・リソース保有者にメリットを提供することが課題とされています。今後もアグリゲーターの責任をさまざまな視点から再整理することが見込まれており、「アグリゲーターの在り方」も変化を続けるでしょう。

 

3.アグリゲーション・ビジネスとは?

アグリゲーション・ビジネスとは、通称「エネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネス(ERAB)」と言われ、需要家側エネルギーリソースや分散型エネルギーリソースを活用して、電力消費量の削減(省エネ)のほかDR・VPPを活用した取り組みのことです。

下記は、資源エネルギー庁が発表したエネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネス(ERAB)の定義です。

ERABとは、VPPやDRを用いて、一般送配電事業者、小売電気事業者、需要家、再生可能エネルギー発電事業者といった取引先に対し、調整力、供給力、インバランス回避、電力料金削減、出力制御回避等の各種サービスを提供する事業のことを示す。

引用:資源エネルギー庁「エネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネスに関するガイドライン」

ここからは、アグリゲーション・ビジネスにおいてアグリゲーターからの提供が想定されるサービスから、海外・日本におけるアグリゲーション・ビジネス事例まで説明します。

 

3-1.アグリゲーターからの提供が想定されるサービス

アグリゲーション・ビジネスにおいては、アグリゲーターから多様な受け手に対し、あらゆるサービスの提供が想定されています。下記は、受け手別の概要と詳しい提供内容です。

受け手 送配電事業者
概要 (1)需要側の蓄電池法充電・分散電源発電・需要抑制量などを集めて、送配電事業者を対象に市場を通じて各種サービスを提供する
(2)蓄電池などの活用によって、変電所などの更新や増強を回避する
提供内容 (1)系統安定化(需要バランス・周波数調整など)
(2)投資最適化
受け手 小売事業者
概要 リソースアグリゲーターが調達したネガワットや発電量を、市場経由または相対取引で供給する
提供内容 電力調達インバランス回避
受け手 需要家
概要 (1)ピークカットで契約電力を削減したり、省エネなどで電力の購入タイミングおよび電力購入量を最適化する
(2)供給に余力のある需要家の蓄電池や分散電源を活用して、ネガワット含む電力を販売する
(3)蓄電池や分散電源からの電力を、災害時においても活用する
(4)需要家がDRに参加する場合は、参加インセンティブを提供する
提供内容 (1)電気料金削減
(2)設備の最適利用・収益化
(3)BCP
(4)DR参加インセンティブ
受け手 再エネ発電事業者
概要 出力抑制が発動する際、蓄電池などにより新たな需要を創出して、再エネ発電を活用する
提供内容 出力抑制回避

出典:経済産業省「エネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネスについて」

 

3-2.海外におけるアグリゲーション・ビジネスの事例

経済産業省が発表する「エネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネスについて」の資料では、世界におけるアグリゲーション・ビジネス事例が示されています。下記は、アメリカにおける海外事例のビジネスモデルです。

(1)Stem社の事例
アメリカのエネルギーマネジメントサービス会社であるStem社は、契約電力をカットすることでユーザーの頭金支払いの必要をなくし、コストにおける大きなメリットを得られる「蓄電池リースプログラム」を提供しました。また、蓄電池のマルチユースによるマーケットへの参加も検討しています。
(1)Sunverge社の事例
Sunverge社は、太陽光発電設備と蓄電池設備をセットで群制御できるシステムを構築・提供しています。当制御化システムはさまざまな発電システム・エネルギーリソースと接続できる点が魅力で、日本の一部大手企業でもSunverge社のシステムが活用されています。

 

3-3.日本におけるアグリゲーション・ビジネスの事例

日本においては、東芝エネルギーシステムズがネガワット取引・蓄電池におけるアグリゲーター事業を展開しています。

ネガワットアグリゲーター事業 需要家と電力会社の中間事業者として、ネガワット取引を支援するサービスを提供する。
高精度なレスポンスが魅力の「ネガワットアグリケーションシステム」や節電の成功率が高まる「需要家ポートフォリオ技術」が特徴。
蓄電池アグリゲーター事業 あらゆる目的に応じて、蓄電池をまとめて制御する群制御技術の開発を行い、VPP運用サービスを開始した。さまざまな受け手にメリットが得られる「蓄電池のマルチユース技術」や、「AIを活用した予測技術」が特徴。

発電機器などの製品供給で蓄積したノウハウや、AI・IoTの活用など最新技術を用いて独自のアグリゲーションシステムも開発しており、その精度も非常に高いものとなっています。安定した運用体制を構築できるのは、高い技術力と膨大なノウハウをもつ大手だからこそと言えるでしょう。

 

まとめ

ここまで、電力分野におけるアグリゲーターの概要から事業の普及拡大に向けて注目されている「アグリゲーション・ビジネス」まで説明しました。

CO2の削減や地球環境への貢献が期待される太陽光発電や再生可能エネルギーは、徐々に注目され始めているものの、急速な普及の拡大はいまだに見込めません。供給量も安定しておらず、需要と供給のバランスが維持できない点も問題です。

時代の変化に合わせて太陽光発電設備の導入拡大や、電力の需要と供給のバランスを維持を目指すためには、アグリゲーターやアグリゲーターによるエネルギービジネスの成長が欠かせないと言えるでしょう。


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