2021.09.15
人間が生活するため・社会を発展させるために、エネルギーの存在は欠かせません。先進国を中心に、世界中では石油や天然ガスなどの化石エネルギーが利用されています。しかし、化石エネルギーは有限の資源です。近年の人口増加や経済発展に伴い、化石エネルギーの消費量が急増し、エネルギーの枯渇がさらに早まっていることが大きな問題となっています。
また、特に日本は国内のエネルギー資源が非常に乏しく、エネルギー自給率が非常に低いことが特徴で、海外からの輸入に依存していることが現状です。これによる多くの課題もあるため、日本は特に世界のエネルギー問題について目を向けておかなければなりません。
そこで今回は、世界の主なエネルギー問題について、エネルギー消費量の推移・CO2排出量の見通しや施策状況・一次エネルギーの動向を詳しく解説します。
世界中では、エネルギー問題として主に下記が取り上げられています。
経済発展を遂げ、新たな技術が続々と生み出される近年、世界中におけるエネルギー消費量が急増していることが現状です。前述の通り、世界で主に使用されている化石エネルギーは限りあるものとなっており、永久的に資源を採取することはできません。そのため、化石燃料の枯渇問題も自ずと挙げられます。
さらにエネルギー資源が乏しい日本では、基本的に原油・石油のほとんどを中東諸国から輸入しています。しかし、中東地域は政情が不安定であり、供給が滞る可能性も十分あるでしょう。原油・石油の価格も需要と供給のバランスにより大きく変動することが特徴で、安定した価格を維持することができません。依存度が高ければ高いほど燃料価格変動に左右されやすく、安定供給がしにくい点も難点です。
また、化石エネルギーの利用急増に伴い、地球温暖化の主な原因となるCO2(二酸化炭素)の排出量が増加していることも大きな問題です。2020年10月に行われた所信表明演説では、菅総理大臣が「2030年における温室効果ガス削減の目標を46%とする」「さらに50%に向けて挑戦を続ける」と表明しています。
世界のエネルギー消費量は、経済成長・社会発展とともに増加の一途をたどっています。また、経済が発展している「先進国」と、発展は十分でないものの、高い経済成長の見込みがある「新興国」とでもエネルギー消費量が大きく異なることも特徴です。
1965年と2018年における各地域のエネルギー消費量の推移を、下記にまとめました。
1965年 2018年 北米 約14億トン 約28億トン 欧州 約10億トン 約20億トン ロシア 約6億トン 約7億トン アジア大洋州 約4億トン 約60億トン 中南米 約1億トン 約7億トン アフリカ 約6,000万トン 約4億トン 中東 約5,000万トン 約9億トン
出典:経済産業省 資源エネルギー庁「第1節 エネルギー需給の概要
中でも、特に目覚ましい増加を見せた地域はアジア大洋州地域です。アジア大洋州地域は、2000年代に新興国としてさまざまな成長を遂げたことから、エネルギー消費量も急増しています。全体的に増加傾向にはあるものの、先進国は伸び率が大きく変わっていないことがわかりました。
九州電力が発表した「世界のエネルギー情勢」を取りまとめたデータによると、2050年における世界のCO2排出量は、新興国のエネルギー需要の増加によってさらに増加することが見込まれています。
世界のCO2排出量の見通し 1990年 約200億トン 2017年 約328億トン 2050年 約400億トン
出典:環境省「世界のエネルギー起源CO2排出量(2017年)」
上記のデータを踏まえ、各国ではCO2・温室効果ガスの大幅削減を目標とした取り組みや戦略を掲げます。下記は、CO2削減に向けた主要国の戦略です。
日本 日本では、2050年におけるCO2の削減目標を80%(2013年比)と設定し、下記のような長期戦略を掲げています。
- 再生可能エネルギー(再エネ)の導入などによるゼロエミッション電源(ゼロエミ)の比率引き上げ
- 水素社会の実現
- 省エネ推進
- EV・PHVの新車販売台アップ(20~30%)
アメリカ アメリカでは、2050年におけるCO2の削減目標を80%以上(2013年比)と設定し、下記のような長期戦略を掲げています。
- 変動再エネの導入などによるゼロエミ化
- 45~60%の電化
- 自動車販売量の一部を「ゼロエミッション車」とするZEV規制の導入
イギリス イギリスでは、2050年におけるCO2の削減目標を80%以上(2013年比)と設定し、下記のような長期戦略を掲げています。
- ゼロエミ比率の引き上げ
- 省エネ推進
- 2040年までにガソリン車・ディーゼル車の販売終了
中国 中国では、2050年におけるCO2の排出量を実質ゼロとする目標を設定し、下記のような長期戦略を掲げています。
- カーボンニュートラルの実現
- 自動車生産量の一部をEV・FCV・PHVへと義務化(2019年~)
冒頭で説明したように、資源に限りがある化石燃料は枯渇が心配されています。日本原子力文化財団が発表した世界のエネルギー資源確認埋蔵量は、下記の通りとなっていました。
世界のエネルギー資源確認埋蔵量(2019年1月~2019年末) エネルギー資源 埋蔵量 可採年数 石油 1兆7,339億バーレル 50年 天然ガス 199兆立方メートル 50年 ウラン 1兆696億トン 132年 石炭 615万トン 115年
今後、新たな資源採取場所が発見されたり、新たな技術が生まれたりすれば年数は異なるものの、化石燃料は使用していればいつかは尽きてしまう資源であることに変わりはありません。そのため、世界では化石エネルギーだけでなく非化石エネルギーも注目されています。
最後に、化石エネルギーと非化石エネルギーについて、それぞれ動向を解説します。
化石エネルギーには、主に「石油」「天然ガス・LPガス」「石炭」が挙げられます。
石油 |
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〇供給動向
〇消費動向 |
天然ガス・LPガス |
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〇供給動向
〇消費動向 |
石炭 |
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〇供給動向
〇消費動向 |
非化石エネルギーには、主に「原子力」「再生可能エネルギー」が挙げられます。
原子力 |
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〇世界の原子力発電の現状
〇日本の原子力発電の現状 |
再生可能エネルギー |
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〇太陽光発電の現状
〇風力発電の現状
〇水力発電の現状
〇地熱発電の現状 |
このように、世界ではエネルギーの枯渇問題・CO2排出量削減に向けてさまざまな取り組みが行われています。エネルギー問題に向けた取り組みは、国・地域によっても適切な方法が異なることが特徴です。エネルギーに関するあらゆる理解を深め、国民が一丸となって適切な取り組みを行うことが最も重要と言えるでしょう。
ここまで、世界の主なエネルギー問題・エネルギー消費量の推移(世界)・一次エネルギー(化石エネルギー・非化石エネルギー)の動向について詳しく解説しました。
従来まで主に使用されてきた化石エネルギーは、いつかは尽きる有限のエネルギーです。さらに、化石エネルギーの使用によるCO2の排出問題も各国で取り上げられています。エネルギーの枯渇問題や地球温暖化をさらに深刻なものへとさせないためにも、世界中では非化石エネルギーの導入を進めるなどあらゆる戦略・取り組みを進めていることが現状です。
ここまでの内容を参考に、中長期的にCO2削減・脱炭素化を目指す企業や世界のエネルギー問題に興味・関心を持っている企業は、ぜひ段階的なCO2排出量の削減におけるサポートを行う「RE100電力株式会社」にご相談ください。
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