ゴルフ業界の現状
ゴルフ市場と聞くと不景気な話題ばかりが先行しますが、実は自動車・医療と並ぶ1兆円規模の巨大市場でスポーツの中では圧倒的No,1なのです。
ただし、市場規模はNo,1ですが近年市場の縮小傾向が強まっています。
残念ながら市場は今後も縮小傾向となる見込みです。これは日本国内だけでなくアメリカなどのゴルフ先進国でもゴルフ離れが深刻化しており世界的に市場が縮小傾向にあります。とは言え、元々の市場規模が大きい分、縮小したとしても魅力的な市場であることは確かです。
・ゴルフ場数 2000年:2,400コース → 2017年:2,195コース
・ゴルフ場市場 1992年:1兆9,610億円 → 2013年:9,010億円
・ゴルフ練習場市場 1993年:3,140億円 → 2013年:1,290億円
・ゴルフ用品市場 1991年:6,260億円 → 2013年:3,400億円
起こらなかった2015年問題
2015年、戦後のベビーブームで生まれた世代、いわゆる団塊世代(S22年~S24年生まれ)が定年退職し、年金暮らしになりました。人工の多い団塊世代が高齢となり体力的余裕、金銭的余裕がなくなるためゴルフから離れてしまう、と危惧されていたのが2015年問題です。
しかし現在の高齢者を見て分かる様にかなり元気です。そして預貯金額も多く金銭的余裕もあります。さらに、ゴルフ場のプレー単価下落によってゴルフが気軽にできる環境になったことも重なり、予想していたよりも高齢者がゴルフから離れませんでした。むしろ、団塊世代の方々が定年退職を迎えて時間に余裕ができラウンド数が増えたことで2015年問題は起こりませんでした。
必ず起こる2025年問題
2025年は団塊世代の子供たち、団塊ジュニアが定年退職を迎える年となります。(団塊世代の次に人口割合が大きい世代です。)
団塊ジュニア世代がゴルフから離れてしまう要因は2つあります。
・親(団塊世代)が後期高齢者となり介護が必要となる。
・団塊ジュニア世代は団塊世代に比べ貯蓄額が少ない。
団塊ジュニア世代は就職時期にバブル崩壊が重なり、就職難で非正規雇用の人が多く貯蓄が少ないことに加え、退職後の年金支給額も団塊世代に比べ少ないと言われています。
上記の理由から、団塊世代が後期高齢者となりゴルフが出来なくなることに加え、団塊ジュニア世代が定年を迎えてからは介護などの理由によりゴルフに行きたいけど行けない現実が待ち受けています。
団塊世代のゴルフ離れに加え、団塊ジュニア世代がゴルフに戻って来る見込みが少ないことが予想されるため2025年問題が必ず起こると言われています。
ゴルフ業界の今後の見通し
【比較的見通しが明るい分野】
ネット予約事業、ネットショップといったWEB関連事業は好調に推移していく模様です。現在ゴルフを予約する方法の80%は電話予約で、GDOや楽天GORAなどのWEB予約を利用する人は予約者のうち20%程度と言われています。WEB予約の比率は2025年までに40%程度まで増加すると見込まれているためWEB予約事業はしばらく安泰な領域でしょう。また、最近ゴルフに若者の参入(特に20代女性)が増えたことでおしゃれなゴルフウェアを着て写真を撮りたいというニーズが高まり、アパレル分野も好調に推移しています。
【見通しが暗い分野】
日本国内のゴルフ場はゴルファーに対し常に供給過多の状態にあり、今後も閉鎖に追い込まれるゴルフ場が増えていくでしょう。ゴルフ人口の需要と、ゴルフ場数の供給がマッチするまで閉鎖されずに生き残れるかが各ゴルフ場の課題です。
RE100によるイメージ戦略
ゴルフ場、ゴルフ用品、練習場全ての鍵を握るのはゴルフ人口です。ゴルフ人口が増えない限りゴルフ業界が再び活性化することはありえません。しかし、国民1人ひとりの意識やゴルフに対するイメージ(接待ゴルフなど)が変わらない限りゴルフ人口が増えるとは考えにくいです。つまり、今後減少していくであろうゴルフ人口に対して必要とされる立ち位置になる必要があるのです。
ゴルフのプロツアーが開催されるコースと開催されないコース、どちらを選ぶでしょうか。もちろん開催されるコースを選ぶはずです。つまりゴルフ場を国民に周知してもらうためにも大きな広告となるプロツアーが開催されることが必要です。世界の企業が目を向けているRE100。今ではサプライチェーンにまでその活動に取り組むことが大切になってきています。今後日本国内で開催されるプロツアーについても歴史等色々な理由以外にも世界的に必要とされるゴルフ場である必要があります。環境活動に取り組むゴルフ場、取り組んでいないゴルフ場、RE100企業の目に入るのはどちらでしょうか?もちろん環境活動に取り組むゴルフ場です。
ただ、環境活動というのはいくらでも告知しようとすれば可能です。しかし、RE100のように世界的に大きな企業が参入している環境活動に取り組むというのは全くイメージが違います。
そういったイメージを早い段階でニュースリリースし、他のゴルフ場と差別化していくことが大切です。
日本、世界企業にプロツアーの開催場所として選ばれる立ち位置になっていく必要があり、それがまた減少するゴルフ人口に普段の利用するコースとして選んでいただく、そういった好循環を生み出していくことで業績を改善していくことが可能なのです。