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RE100への壁:気候変動サミットで約束した高い削減目標と現実の乖離

2021.05.27

 4月22・23日、米国主催で気候変動サミットが開催され、日本や中国、ロシアなど世界四〇カ国の首脳約40人が参加した。2050年炭素中立を決定している日本は、2030年までに46%削減(2013年比)と従来の倍近い野心的な削減目標を表明した。

日本の2030年の削減目標は、海外よりも、国内で驚きと戸惑いで受け止められた。従来は26%削減という水準に過ぎず、官邸主導のトップダウンで表明された数字だったからだ。国内で行われているエネルギー基本計画の審議でも、そういう高い削減目標は議論されていなかった。

気候危機が現実の災害の激化も伴って進行しているという認識が世界中で広がる中で、日本は石炭と原発に固執して気候対策に最も消極な国の一つとして、何度も「化石賞」を受賞してきた。その日本が、菅首相の主導で高い目標値を表明したこと自体は歓迎すべきことだ。日本の環境派も、戸惑いつつも歓迎のメッセージを表明している。

ところが日本の現実は、今のままでは、この目標値を実現できるのかおよそ疑わしい。第一に、原子力ムラがさっそく活気づいている。原発再稼働はもちろん新増設が必要、小型原発や地下原発などの技術開発も必要などとかまびすしい。もちろん、事故のリスクも核廃棄物の問題も何も改善していない。

また石炭派は、炭素回収利用(CCUS)をすれば石炭を利用しながら炭素中立ができると、こちらもおよそ非現実的な主張を売り込む。このCCUSはおよそ実現性も経済性も無い上に、世界に約30箇所あるプラントの大半は、石油や天然ガスの採掘を増やすために使われている「マッチポンプ技術」なのだ。

米国でも欧州でもその他の国々でも、気候危機対策の中心は再生可能エネルギー、とくに驚異的に成長する太陽光発電と風力発電である。ところが日本では、風力発電の普及が遅れている上に、唯一この十年間に成長してきた太陽光発電市場が、明らかに崩壊しつつあるのだ(図)。明らかに政策の失敗と電力会社による独占の弊害が最大の問題なのだが、それを改善する政治のリーダーシップは見当たらない。

せっかくの高い目標値はもちろん、RE100を実現するためにも、抜本的なエネルギー政策の見直しが必要だろう。
 



飯田哲也(いいだてつなり)エネルギー・チェンジメーカー 
国内外で有数の自然エネルギー政策のパイオニアかつ社会イノベーター。
京都大学大学院工学研究科原子核工学専攻修了。
東京大学先端科学技術研究センター博士課程単位取得満期退学。
ルンド大学(スウェーデン)客員研究員、21世紀のための自然エネルギー政策
ネットワーク(REN21)理事世界風力エネルギー協会アドバイザーなど国内外で
自然エネルギーに関わる営利・非営利の様々な機関・ネットワークの要職を務めつつ
国や地方自治体の審議会委員等を歴任。
「北欧のエネルギーデモクラシー」「自然エネルギー政策イノべーション」など著書多数。
1959年山口県生まれ


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