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飯田哲也「RE100への途」

RE100の起点としての3・11から10年

2021.03.11

10年前の3月11日、マグニチュード9の東日本大震災が発災し、その地震と津波の影響によってチェルノブイリ原発事故と同じレベル7という最大級の原発事故となった東京電力福島第一原発事故が生じた。あらためてこの10年を振り返ると、現在、世界中で加速する再生可能エネルギー100%(RE100)の起点と重なっていることは、「世界史の偶然」と呼んでもいいだろう。

3・11を機に、世界は大きく変わった。代表例は、いうまでもなくドイツだ。予定していた原発の段階的な閉鎖に消極的だったメルケル政権は、原発全廃へと再び舵を切り直し、再生可能エネルギーへの転換を加速した。今や、世界におけるRE100を牽引するリーダー国として自他共に認められている。イタリアとスイスもドイツの決定を追随した。

日本の近隣では、韓国と台湾が3・11に大きな衝撃を受けた。両国とも、その後に原発に消極的な政権へと政権交替が生じ、いずれも再エネ拡大と原発縮小(韓国)・原発全廃(台湾)へと舵を切っている。そして中国は、原発への積極的な姿勢は変わっていないが、現実には原発開発のペースをスローダウンさせる一方で、これからのRE100を実現していく上でコア技術となる太陽光発電と風力発電と蓄電池という3つについて、今や技術も製造も市場も世界をリードする立場へと変わった。

そしてこの10年間でもっとも大きく変わったことは、世界の認識だろう。10年前の3・11当時に、再生可能エネルギー、その中でも太陽光発電と風力発電で世界の電力、そしてエネルギーの全てを賄える(=RE100)という考え方は、空想ですらなかった。世界のクルマが自動運転の電気自動車(EV)に置き換わり、誰もクルマを買わず持たなくなるという考え方すらなかった。それが今や、空想が主流の認識へと大きく変わった。これからの10年は、間違いなくその「新しい認識」が急速に「新しい現実」を創り上げていく10年となるだろう。

こうして、あの3・11は、世界史的な大転換の「起点」となった。

 



飯田哲也(いいだてつなり)エネルギー・チェンジメーカー 
国内外で有数の自然エネルギー政策のパイオニアかつ社会イノベーター。
京都大学大学院工学研究科原子核工学専攻修了。
東京大学先端科学技術研究センター博士課程単位取得満期退学。
ルンド大学(スウェーデン)客員研究員、21世紀のための自然エネルギー政策
ネットワーク(REN21)理事世界風力エネルギー協会アドバイザーなど国内外で
自然エネルギーに関わる営利・非営利の様々な機関・ネットワークの要職を務めつつ
国や地方自治体の審議会委員等を歴任。
「北欧のエネルギーデモクラシー」「自然エネルギー政策イノべーション」など著書多数。
1959年山口県生まれ


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