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飯田哲也「RE100への途」

停滞する日本を心配する海外研究機関からの助言

2023.07.30

日本の再エネ化の進展があまりに遅く進まないため、海外の研究機関からの「助言」が相次いでいる。

 

一つは、今年3月の米国ローレンス・バークレー国立研究所からの報告書「2035年日本レポート電力脱炭素化に向けた戦略」だ※1。要旨は、2035年までに電力の90%をクリーンエネルギーで供給することは実現可能であり、 低コストで信頼性も確保できるというものだ。ただし、このクリーンエネルギーには原発再稼働を含んでいることは注意が必要だが、原発は高コストであるとクギを指している。

やはり中心は、圧倒的に太陽光発電と風力発電(陸上、洋上)、そして蓄電池であり、これらが「世界の常識」といえよう(図1)。同報告書を紹介した非営利組織Climate Integrateは、同時に包括的な政策「2035年日本の電力脱炭素化に向けた政策転換」を提言しており、一読に値する※2。

 

図1 米国ローレンス・バークレー国立研究所の日本の脱炭素シナリオ

もう一つは、ブルームバーグNEFが7月に提言した「長期エネルギー見通し(NEO):日本版」という報告だ※3。電気自動車(EV)も含めていることが特徴で、要旨は以下のとおり(図2)。

・日本はエネルギー自給率を強化しつつ、2050年までのネットゼロ達成が可能
・日本はアンモニア・石炭混焼のような高コストの技術に頼らず、エネルギー自給率を強化しながら、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることが可能
・電力セクターの脱炭素化を成功させることが日本の移行を加速する鍵。太陽光、風力、電気自動車(EV)などの成熟した低炭素技術の導入を加速することが、日本が2030年の排出削減目標を達成する上で最も安価な方法
・日本はクリーン水素への依存を最小限に抑え、水素の輸入や国内生産によるコストを回避することが可能
・日本がネットゼロ実現に向けた軌道を進み続けるには、炭素税の引き上げなど、カーボンプライシングの仕組みの厳格化が必要
・日本では2050年までにネットゼロ経済への移行で、少なくとも6.7兆ドルに上る投資機会が生じる

 

図2ブルームバーグの日本の脱炭素シナリオ

いずれも、日本政府が出すシナリオが水素やアンモニア、CCUS(炭素回収利用)など「明後日」の方向の技術に固執し、また過剰に原発に依存していることを心配しての助言と見ることが出来る。日本も、世界のエネルギー転換やEV転換という王道に向けて、世界からの助言を率直に受け止めるべきだろう。

[1] https://eta-publications.lbl.gov/sites/default/files/lbnl_2035_japan_report_japanese_publish.pdf

[2] https://climateintegrate.org/wp-content/uploads/2023/02/Policy-Change-to-Trigger-a-Shift2035_JP_ver.1.pdf

[3] https://about.bnef.com/blog/press-japanese-long-term-energy-outlook-report-japan-will-not-rely-heavily-on-hydrogen/

 



飯田哲也(いいだてつなり)エネルギー・チェンジメーカー 
国内外で有数の自然エネルギー政策のパイオニアかつ社会イノベーター。
京都大学大学院工学研究科原子核工学専攻修了。
東京大学先端科学技術研究センター博士課程単位取得満期退学。
ルンド大学(スウェーデン)客員研究員、21世紀のための自然エネルギー政策
ネットワーク(REN21)理事世界風力エネルギー協会アドバイザーなど国内外で
自然エネルギーに関わる営利・非営利の様々な機関・ネットワークの要職を務めつつ
国や地方自治体の審議会委員等を歴任。
「北欧のエネルギーデモクラシー」「自然エネルギー政策イノべーション」など著書多数。
1959年山口県生まれ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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