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コロナ後の「ニュー・ノーマル」としての再生可能エネルギー

2020.05.29

新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言が解除された。とはいっても、「元の生活に戻る」のではなく「新しい日常生活」、すなわち「ニュー・ノーマル」が必要なのだ、という。なお進行中の新型コロナウイルス・パンデミックだが、大きな方向性が見えてきたようだ。その一つが、このニュー・ノーマルだろう。

あらためて振り返ると、事前には予想もしなかったことが起き、また取り組まれた。あれほど緻密・頻繁・高速だったグローバルな移動が、ピタリと止まった。国内の移動も同様だ。大都市のロックダウンや国境封鎖も含めて、今、日本や世界で起きている事態を、昨年末に映画や小説にしたら、誰もが現実離れしていると思ったのではないだろうか。

それによって、インドからヒマラヤ山脈が見えた、ロサンゼルスの空気が澄んだ、ベネチアの海が透き通った、野生動物の姿が戻った、といった水や大気や自然環境が、一時的とはいえ、劇的に改善した。このことは、今回のニュー・ノーマルの一つとなったテレワークの比率が格段に高まり、しかも移動手段が電気自動車(EV)などにシフトすることで、同様な改善が期待できることを意味する。

世界エネルギー機関(IEA)によれば、今回の新型コロナ危機で、中国や米国、欧州など世界各国の自動車市場は、ロックダウン時期に半減から9割減ほどの需要後退が起きたが、EV市場はそれほど後退しておらず、通年では前年を上回るとしている(注1)[1]。すでに始まっていた、化石燃料車からEV車へのシフトやMaaS(移動サービス)シフトを、今回の新型コロナ危機が一気に加速させる可能性がある。
エネルギーや電力消費量も劇的に下がった。中国や欧州、インド、米国各州などロックダウンされた国や地域で15〜30%ほどの電力需要減が起きている。その中で、化石燃料価格の下落にも関わらず、燃料の不要な再生可能エネルギーは電力供給における比率を高めたと報告されている(注2)[2]。ここでも、もともと加速していた再生可能エネルギーへの電力シフト・エネルギーシフトを、新型コロナ危機が加速させる可能性がある。

こうした一連の生産と消費、移動の急停止によって生じた大幅なエネルギー需要減の結果、原油価格は下落し、ニューヨーク先物市場では歴史上初めてのマイナス価格を記録した。懸念されている気候変動問題に関しても、今年の温室効果ガスの排出量は、上記の需要減の結果、6〜10%下がると予測されている。ただし、気候変動問題は、大気中の温室効果ガスの蓄積による影響であるため、こうした単年度の排出量減少では温室効果の影響増大ペースが少し鈍るだけで、なお増大してしまう。

さて、再生可能エネルギー市場、とくに太陽光発電や風力発電自体へも、新型コロナ危機の影響がある。危機前は、今年の太陽光発電市場は大幅な拡大が予想されていたが、新型コロナ危機によって、建設や竣工がずれこむ案件が少なくなく、単年度で見ればペースダウンするという(注3)[3]。ただし、中長期的に見れば、引き続き力強い成長が予想されている。ちょうど、上記の温室効果ガスの裏返しのようなかたちだ。
今回の新型コロナパンデミックからの回復にあたって、既報のとおり、経済・雇用・気候危機への同時解決を目指し、世界中で再生可能エネルギーを軸とするグリーン・ニューディールの声が上がっている。再生可能エネルギー(RE100)こそが、コロナ後のニュー・ノーマルなのだ。

 

 


飯田哲也(いいだてつなり)エネルギー・チェンジメーカー 

国内外で有数の自然エネルギー政策のパイオニアかつ社会イノベーター。
京都大学大学院工学研究科原子核工学専攻修了。
東京大学先端科学技術研究センター博士課程単位取得満期退学。
ルンド大学(スウェーデン)客員研究員、21世紀のための自然エネルギー政策
ネットワーク(REN21)理事世界風力エネルギー協会アドバイザーなど国内外で
自然エネルギーに関わる営利・非営利の様々な機関・ネットワークの要職を務めつつ
国や地方自治体の審議会委員等を歴任。
「北欧のエネルギーデモクラシー」「自然エネルギー政策イノべーション」など著書多数。
1959年山口県生。


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