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RE100を目指す環境省脱炭素先行地域(その1)

2022.07.30

地域で面的に再エネ100%(RE100)を目指す「脱炭素先行地域」を取り上げてみたい。筆者もいくつかの「脱炭素先行地域」(候補も含む)に関わっており、地域による違いや実態に即した事例紹介などもできると思うからだ。

もはや旧聞だが、「2030年までに100箇所の創出」に向けて環境省が鼻息荒く進める「脱炭素先行地域」の第1弾として、この4月に26地域が選出された[[1]]。現在は、すでに今年度第2次の公募が行われている。

「脱炭素先行地域」とは2021年9月に策定された地域脱炭素ロードマップに沿ったもので、100箇所の脱炭素先行地域を創出し、それを全国に伝播させることで、2050年を待たずして日本のカーボンニュートラルを達成することがうたわれている[[2]]。選定された地域は、一つの地域に対して5年間合計で50億円・最大4分の3が支援される。環境省事業としては規模も度合いも前代未聞のスケールだ。

脱炭素先行地域が掲げる「地域が先導し全国に伝播させる」という考え方は、評価できる。歴史を振り返っても、環境政策やエネルギー政策におけるイノベーションは、地域から小さな取組から始まったからだ。固定価格買取制度(FIT)の起源は1980年代のデンマークにおける風力協同組合と電力会社との電気の買取合意や1995年のドイツ・アーヘン市における新しい制度に由来している。今回の脱炭素先行地域で、そうした期待する「知の伝播」が生じるかが見どころだ。

環境省が地域エネルギー支援に取り組むプログラムとしては、今回は第3ステージとなる。第1ステージは、2004年に始まった「平成のまほろば事業」(環境と経済の好循環のまちモデル事業)、第2ステージが2011年に始まった「地域主導型再生可能エネルギー事業化検討業務」だ。

「平成のまほろば事業」は、デンマークなど欧州の「地域エネルギー環境事務所」立上げの取り組みを参考にして、全国20地域に対して3年間で合計5億円の補助を行った。これにより、長野県飯田市のおひさま進歩エネルギーや岡山県備前市の備前グリーンエネルギーなどが誕生した。「地域主導型再生可能エネルギー事業化検討業務」は、金額は1千万円×3年と小さいものの、「地域エネルギー環境事務所」の立上げをダイレクトに支援するプログラムだった。これにより、静岡未来エネルギー、小田原市のほうとくエネルギーや自然エネルギー信州ネット、徳島地域エネルギーなどが誕生した。

第3ステージとなる今回の脱炭素先行地域は、支援額も支援対象箇所も期間も一回りスケール大きい上に、環境省がこれまでに積み重ねてきた経験や教訓の上に組み立てられていることが分かる。

次回以降、地域レベルでの具体的な取組を紹介しつつ、各論での課題や壁、可能性などについて考察してゆく。

[1] 環境省 脱炭素先行地域選定結果(第1回)について(2022年4月26日)
https://www.env.go.jp/press/110988.html

[2] 内閣官房 国・地方脱炭素実現会議
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/datsutanso/index.html

 



飯田哲也(いいだてつなり)エネルギー・チェンジメーカー 
国内外で有数の自然エネルギー政策のパイオニアかつ社会イノベーター。
京都大学大学院工学研究科原子核工学専攻修了。
東京大学先端科学技術研究センター博士課程単位取得満期退学。
ルンド大学(スウェーデン)客員研究員、21世紀のための自然エネルギー政策
ネットワーク(REN21)理事世界風力エネルギー協会アドバイザーなど国内外で
自然エネルギーに関わる営利・非営利の様々な機関・ネットワークの要職を務めつつ
国や地方自治体の審議会委員等を歴任。
「北欧のエネルギーデモクラシー」「自然エネルギー政策イノべーション」など著書多数。
1959年山口県生まれ

 

 

 

 


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