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四国電力・東北電力・中国電力の「初めての出力抑制」の意味

2022.04.27

再生可能エネルギー(太陽光および風力)の出力抑制は、2018年10月に九州電力が初めて本島で実施してから、これまでは九州電力だけに留まっていた。しかしこの4月、四国電力・東北電力・中国電力が相次いで出力制御を行った。これは、九州電力以外では初めてとなる。

四国電力は4月9日に初めての出力抑制を実施した。四国電力は、日本の「ガラパゴスルール」では再エネより優先される原発1基が昨年末から稼働しているとはいえ、手許のデータで見ると、火力発電を事前に抑えつつ、会社間連系線を活用すれば、太陽光および風力の出力抑制は十分に回避できた。

東北電力は4月10日に初めての出力抑制を実施し、24日までに4回の出力抑制を実施している。東北電力は原発を1基も稼働しておらず、これも手許のデータで見ると、火力発電の事前抑制と連系線や揚水発電の活用がおこなわれていれば、出力抑制は十分に回避できた。

中国電力は4月17日に初めての出力抑制を実施した。中国電力も原発は1基も稼働しておらず、東北電力と同様に、試運転火力を含む火力発電の事前抑制と連系線や揚水発電の活用がおこなわれていれば、出力抑制は十分に回避できた。

原発4基が稼動する九州電力は上記3社よりもはるかに厳しいが、それでも最大限の対策を取れば出力抑制は回避ないしは最小限に抑えることができる。それと比べれば、上記3社は、出力抑制の実績を作ることを目的とした、いわば「お試し出力抑制」だったのではないか。

それ以上の問題は、国(経済産業省)の姿勢である。今年、3月14日の委員回では、無対策の婆には最大49%にも及ぶ出力抑制の試算結果が示された(下図)。抑制を最小化する対策が示されたものの、根本的な考え方として、太陽光および風力と軸とするRE100を目指す発想に立った試算になっていない。

そもそも出力抑制に対して経済的補償をすることと原子力よりも再エネ(太陽光および風力)を最優先する給電ルールに改めることが一丁目一番地である。その上で「火力バックアップ」の発想から早々に脱却して、蓄電池や需要側応答(DR)など未来志向の柔軟性手段へ移行すること、再エネ(太陽光および風力)を最大化して温熱(V2H)や再エネガス(V2G)、グリーン水素への道のりを織り込んだ制度設計とすることなど、根底からのコンセプト転換が求められる。

(出典)経済産業省第36回系統ワーキンググループ(2022年3月14日)
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/shoene_shinene/shin_energy/keito_wg/036.html



飯田哲也(いいだてつなり)
エネルギー・チェンジメーカー 
国内外で有数の自然エネルギー政策のパイオニアかつ社会イノベーター。
京都大学大学院工学研究科原子核工学専攻修了。
東京大学先端科学技術研究センター博士課程単位取得満期退学。
ルンド大学(スウェーデン)客員研究員、21世紀のための自然エネルギー政策ネットワーク(REN21)理事世界風力エネルギー協会アドバイザーなど
国内外で自然エネルギーに関わる営利・非営利の様々な機関・ネットワークの要職を務めつつ国や地方自治体の審議会委員等を歴任。
「北欧のエネルギーデモクラシー」「自然エネルギー政策イノべーション」など著書多数。
1959年山口県生まれ


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