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PPS(新電力)とは|IPPとの違い・電力自由化後の電力事業体制も

2021.05.20

住居やオフィスで過ごす上で、特に重要な要素のひとつに「電力」があります。電力への理解を深めるために、覚えるべき用語のひとつが「PPS」です。PPSについて理解することは、電気料金を抑えることにつながります。

当記事では、PPSについて詳細に解説します。似ている用語のひとつである、IPPとの違いや電力自由化も併せて解説するため、PPSや電力について知りたい人はぜひ参考にしてください。

 

1.PPS(新電力)とは?

PPSとは、「Power Producer and Supplier」の略であり、特定規模電気事業者を意味します。2013年3月に経済産業省によって「新電力」という名称に変更されているため、「新電力」のほうが馴染みがある人も多いでしょう。

もともと日本では、一般電気事業者と呼ばれる、東北や関東などの各地方にある電力会社からしか電気が供給されていませんでした。しかし、2000年から開始された電力改革にともない、いずれの企業も電力事業に参加可能となっています。そして、電力事業に新規参入した企業が、新電力です。

なお、小売電気事業者の数は、令和3年4月7日時点で716社となっています。

出典:経済産業省 資源エネルギー庁「登録小売電気事業者一覧」

 

1-1.電力の小売全面自由化とは

PPSを知る上で重要なできごとのひとつが、「電力の小売全面自由化」です。電力の小売全面自由化とは、2016年4月にどの企業でも電力の販売が可能となったことを言います。

電力が一般電気事業者から供給されていた時代は、消費者側は利用する電力を選択できませんでした。しかし、2000年に特別高圧電力の小売自由化が開始されると、段階的に部分自由化が拡大します。2016年4月には、一般家庭も含めたすべての消費者が、電力を自由に選べるようになりました。

また、電力の小売全面自由化と並ぶ電力改革のひとつに、2020年に実施された「発送電分離」があります。発送電分離とは、電力供給における発電部門・送配電部門・小売部門を切り離す取り組みです。

小売全面自由化によって、どの企業でも電力事業に参入できるようになったものの、送配電部門だけは地域の電力会社が独占しています。送配電部門だけが地域の電力会社が独占している状態が続くと、「競合企業だけ送配電の利用料を高くして、自社の利用料を安くする」など、不公正な競争が実現してしまう可能性があります。

送配電部門を担う会社が発電や小売を実施できなくすることで、電力事業の公平性を保つことが、配送電分離の目的です。

 

1-2.PPSと「IPP」の違い

PPSと似ている用語のひとつに、「IPP」があります。IPPとは、「Independent Power Producer」の略であり、独立系発電事業者のことを言います。独立系発電事業者は、1995年の電気事業法改正によって誕生した、事業で作った電力を電力会社に売る企業です。

電力会社に電力を売る際は入札が行われており、適正な価格で電力が供給されています。
また、IPPは余剰電力を売電できるため、電力市場を活性化させる役割を担っていることも特徴です。

 

2.電力の小売全面自由化後の「電力事業体制」

電力の小売全面自由化により、発電や送配電の体制にも見直しがありました。では、現在の電力事業は、どのような体制となっているのでしょうか。

ここでは、発電部門・送配電部門・小売部門の3部門について、電力の小売全面自由化後の電力事業体制を紹介します。

 

2-1.発電部門

発電部門とは、電気を作る部門のことであり、言わば電力供給の大元です。各地域の電力会社や新電力によって、人々が日常的に使用する電力が作られます。

発電部門では、発電所に設置されたさまざまな発電設備によって電力が生みだされます。発電部門の主な発電方法は、下記のとおりです。

  • 火力
  • 風力
  • 水力
  • 電子力
  • 太陽光
  • 地熱

 

2-2.送配電部門

送配電部門は、電力を消費者に供給する際の送配電ネットワークを管理する部門です。オフィスや一般家庭などに電力を送る役割を担っています。

発送電部門の機能が停止すると、生活の中に電力が行き届かなくなります。そのため、電気を安定的に供給するにあたって、電力の周波数などを調整することも送配電部門の役割のひとつです。

上述したように、送配電部門は一般電気事業者が担っています。一般電気事業者は、国からの許可のもとで配送電を行っているため、安全性や信頼性の高さが特徴です。

 

2-3.小売部門

小売部門は、消費者に直接電力を販売する部門です。電力の小売全面自由化によって企業が自由に参入できるようになったことで、さまざまな企業が電力の販売を開始しています。

小売部門は、消費者向けの料金プランや電気料金の設定、利用にあたっての契約手続きを行います。住民にとっては、もっとも身近な部門であると言えるでしょう。

また、消費者が必要とする電力の調達を行うことも小売部門の仕事です。消費者に電力を供給するにあたっては、各部門が連携を取っています。たとえば、消費者が必要とする電力量が不足している場合は、小売部門からの依頼にもとづき、送配電部門が不足分の電力が供給する仕組みです。

 

3.【個人・法人別】新電力を選ぶ際のポイント

現在、世界共通で取り組んでいる目標に、「SDGs(持続可能な開発目標)」があります。
SDGsは17の目標で構成されており、その中のひとつが「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」です。

このことから、SDGsを達成するためには、個人も法人も「持続可能かつクリーンな電力」を選ぶ必要があります。

ここからは、個人・法人別に新電力を選ぶ際のポイントを紹介します。

 

3-1.個人の場合

個人の場合、電力の無駄が発生しないプランを選ぶことが重要です。電力会社における個人向けプランの代表例には、下記の種類が挙げられます。

電力プランの名称 プランの内容
従量電灯プラン

従量電灯プランは、電力の使用料に比例して料金が決まる、もっとも基本的なプランです。

基本料金と従量料金の2つに分かれており、基本料金は電力使用料に関係なく発生します。たとえば、電気をまったく使わなかった月でも料金が発生する仕組みです。

従量電灯プランでは、電力使用料が多いほど、1kwhあたりの単価が高くなります。

基本料金0円プラン

基本料金0円プランでは、基本料金がなく、従量分だけで電気代が決まります。

また、電気使用量に限らず単価が一定であることが多い傾向です。そのため、電気をたくさん使う大家族などには、メリットが大きいプランだと言えます。

時間帯別プラン

時間帯別プランは、電力を使う時間帯によって料金が変動するプランです。

多くの場合は、昼の時間帯の料金が高く設定されており、夜間は安く設定されています。

上記のほかにも、電力会社によってさまざまなプランが設定されています。

なお、どのプランが良いのか迷った場合は、「従量電灯プラン」がおすすめです。従量電灯プランであれば、使った分だけ支払う仕組みのため、電力消費を管理しやすいと言えます。

 

3-2.法人の場合

法人の場合、環境に配慮された電力であることや、企業規模に対して余分なコストをかけないことが重要です。今後は、企業としても温暖化対策を行うことが義務付けられます。

日本国内でもっとも法人のオフィスが立ち並ぶ東京都では、2010年から「ギャップ&トレード制度」を実施しています。ギャップ&トレード制度とは、都内CO2排出量の削減を目指し、オフィスビルなどのエネルギー需要側にCO2排出削減を義務付ける制度です。

東京都におけるギャップ&トレード制度の内容は、下記のとおりです。

第1期(2010~2014年度) CO2排出量をオフィスビルなどでは8%、工場などでは6%削減
第2期(2015~2019年度) CO2排出量をオフィスビルなどでは17%、工場などでは15%削減
第3期(2020年度~) 省エネの継続と再エネの強化

また、業界によって異なるプランかどうかもポイントです。電力会社によっては、各業界の特色に応じたプランを設定しています。業界を対象としたプランを選ぶことで、余分なコストをかけない効率的な電力消費が可能です。

 

まとめ

PPS(新電力)とは、特定規模電気事業者のことであり、電力改革にともない、新たに電力事業に参入した企業です。2016年に行われた電力の小売全面自由化により、消費者は電力を自由に選べるようになりました。そのため、近年はさらに新電力が注目を集めています。

PPS(新電力)と間違われやすい用語のひとつに、「IPP」があります。IPPとは、独立系発電事業者のことであり、自分たちで発電して電力会社に電力を売る企業です。

当記事の最後には、個人・法人別に新電力を選ぶ際のポイントも紹介しています。国際問題となっている地球温暖化の解決を目指すためにも、ぜひ、新電力を選ぶ際の参考にしてください。


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