1. Home
  2. お役立ちコラム
  3. 水素社会のメリットとは?水素エネルギーの活用例と今後の課題

お役立ちコラム

水素社会のメリットとは?水素エネルギーの活用例と今後の課題

2021.09.15

近年では、地球環境を守る取り組みが世界中で進められています。環境に優しい「再生可能エネルギー」の導入も徐々に行われており、二酸化炭素を排出しないエネルギーの注目度はより高まりました。

そして、次世代を担う新エネルギー(次世代エネルギー)として注目され始めているエネルギーが「水素エネルギー」です。水素エネルギーを活用した社会は、水素社会と呼ばれます。今後は世界的にも、脱炭素化だけでなく水素社会の実現に向けた取り組みも進められるでしょう。

そこで今回は、水素社会の概要やメリット・水素エネルギーの活用例・水素社会の構築における課題を詳しく解説します。

 

 

1.水素社会とは?水素社会がもたらす3つのメリット

水素社会とは、水素をエネルギー・燃料として活用する社会のことです。「水素エネルギー社会」とも言われています。

水素は、水や石油、天然ガス、化石燃料など、さまざまなエネルギー資源から作ることが可能です。酸素と結び付けて発電したり、燃焼させてエネルギーとして利用したりできるうえ、利用時に二酸化炭素を排出することはありません。エネルギー調達先の多様化により、エネルギー問題を解決へと導く効果も期待できるでしょう。そのため、発電効率が高くエネルギーコストを抑制できる次世代エネルギーとして注目されています。

では、水素社会の実現には具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。ここからは、水素社会がもたらすメリットを3つ紹介します。

 

 

1-1.二酸化炭素を排出せず脱炭素化を図れる

発電方法によっても排出量は細かく異なるものの、従来では一般的だった原子力発電・自然エネルギー発電は、発電時に二酸化炭素(CO2)が排出されることが基本でした。二酸化炭素は地球温暖化を加速させる大きな要因であり、世界中において一刻も早い「脱炭素化」が求められています。

そして水素発電は、水素自体を熱量電池を使って燃焼させ、空気中の酸素と結び付けて発電する方法です。酸素と結び付けても二酸化炭素を排出することがないため、脱炭素化に貢献するというメリットがあります。

なお、水素エネルギーの製造段階で化学燃料を活用する場合、二酸化炭素は排出されてしまうため、脱炭素化に貢献するのはあくまでも「再生可能エネルギーを利用した場合」に限ることを覚えておきましょう。

 

 

1-2.さまざまな資源からエネルギーを作れる

水素は、さまざまな資源からエネルギーを生成することが可能です。最も代表的な生成方法は、水を電気分解させることによって水素を取り出すという方法ですが、その他にも下記のようなエネルギー源から水素を取り出すことができます。

  • 石油
  • 化石燃料
  • バイオマス
  • メタノール
  • エタノール
  • 廃プラスチック

これらの資源は地球上のあらゆる場所に存在しているため、いわば水素は「無限に生成することのエネルギー」と言っても過言ではありません。

 

 

1-3.非常時にもエネルギーを有効利用できる

前述の通り水素は、水を電気分解することで生成できます。水を電気分解して作られた水素は、保存・運搬することも可能です。そのため、地震や台風などの自然災害が発生して万が一停電が起きた場合も、保存しておいた水素エネルギーを活用して発電することができます。

特に日本では、地震などの災害が多い国と言われています。万一の非常時でも水素エネルギーを有効に利用できるという点は、災害が多い日本において大きなメリットとなるでしょう。

 

 

2.水素社会の実現に向けた水素エネルギーの活用例

水素エネルギーが注目され始めた近年、水素社会の実現に向けた取り組みとしてすでに「水素エネルギーを活用した製品の開発・普及」が進んでいます。水素社会の実現に向けた、水素エネルギーの代表的な活用例は下記の通りです。

  • エネファーム(家庭用燃料電池)
  • FCVなどの燃料電池車両
  • 水素航空機・水素発電所

なお、水素航空機・水素発電所に関しては将来的な活用例として検討されています。ここからは、それぞれの活用例についてより具体的に解説します。

 

 

2-1.エネファーム(家庭用燃料電池)

エネファームとは、自宅で発電し、同時にお湯も作り出せるという仕組みの家庭用燃料電池です。ガスに含まれている水素と空気中の酸素を化学反応させ、発生した熱でお湯を沸かすことができます。

エネファームの魅力は、「省エネに優れている」「節電につながる」の2点です。エネファームはエネルギーを有効に活用できるだけでなく、自宅でエネルギーを発生させることによってエネルギー効率が上がり、送電ロスの発生も防ぎます。電力会社からの電力購入を減らせて、節電に大きく貢献することも可能です。

また、太陽光発電設備を加えたダブル発電なら発電量に余分が生まれ、余剰電力の売電量も向上します。

 

 

2-2.FCVなどの燃料電池車両

水素エネルギーは、FCVなど燃料電池車両(燃料電池自動車)の燃料としても活用されます。燃料電池車両は、水素と酸素の化学反応により発電された電気エネルギーでモーターを回して走行することのできる自動車です。

燃料電池車両は、自動車業界において「クリーンエネルギー自動車」としても注目されており、走行時に大気汚染の原因となる有害ガス・有害大気汚染物質を排出しません。水素を直接的な燃料として使用する燃料電池車両の場合、走行時に排出されるのは水蒸気のみです。

また近年では、電気自動車も徐々に普及されていますが、電気自動車は定期的な充電が必要であることが難点とされています。しかし燃料電池車両は短時間での燃料充填が可能で、走行距離も電気自動車より長いと言われています。

燃料電池車両は、水素の車載方法や使用燃料などにおいてもあらゆる種類があります。2018年には大手自動車メーカーがFCバス(燃料電池バス)の型式認証を国内で初めて取得し、同年3月に販売も開始しました。2021年現在では東京都内を中心にFCバスが導入されており、今後も導入エリアはますます広がっていくと言えるでしょう。

 

 

2-3.【未来】水素航空機・水素発電所

世界各国では、水素を燃料とする水素航空機・水素発電所の将来的な実用化が検討されています。実際にヨーロッパの大手エアバスでは、2035年における水素航空機の実用化に向けた開発が進められており、日本国内でも2022年3月に水素を燃料とした発電所を山梨県で稼働すると大手新電力会社が発表しました。

水素航空機・水素発電所の開発には、専用の機械の製造・搬入を含む大規模な設備や環境整備が欠かせません。2021年時点では、必要な設備や規模・法律制度・コストをテーマに検討会議を開いている段階です。会議には大手航空会社だけでなく水素の供給・インフラ整備を行う工業会社・燃料会社も加わり、水素航空機・水素発電所の実現に向けた取り組みは今後も着々と進むでしょう。

 

 

3.水素社会の構築で立ちはだかる課題

ここまで紹介したように、水素社会には多くのメリットがあります。しかし、水素社会を実現・構築するためには、多くの課題も立ちはだかることが現状です。

最大の課題は、コストです。水素エネルギーの普及が進んでいるとは言えない現在、水素を大量に調達・保存・利用するための各技術が足りていなかったり、供給インフラの整備が進んでいなかったりなどの問題点が多くあります。あらゆる資源から水素エネルギーを作り出すためには、これらの問題点を解決したうえで低コスト化を実現させなければなりません。

水素エネルギーの普及に向けて、経済産業省は「水素・燃料電池戦略ロードマップ」を策定しました。水素・燃料電池戦略ロードマップでは、2030年前後を目途にした目標として、水素社会を実現させるための戦略やロードマップが示されています。

参考:経済産業省「水素・燃料電池戦略ロードマップを策定しました」

二酸化炭素の排出量削減や再生可能エネルギーの普及が注目されている近年、水素社会の実現はより注目されるでしょう。水素社会を実現させるためには、水素エネルギーを活用するための新たな技術の確立・普及が欠かせません。課題は多くあり、実用化までには少なからず時間を要するものの、政府が発表するロードマップに伴って水素社会は着実に実現されていくでしょう。

 

 

まとめ

ここまで、水素社会の概要や水素社会がもたらす3つのメリット、さらに水素エネルギーの活用例や実現・構築に立ちはだかる課題を詳しく解説しました。

二酸化炭素の排出量削減や再生可能エネルギーへの推進・取り組みが重要視されている近年、水素エネルギーを活用した水素社会が注目され始めています。水素社会の実現には新たな技術や設備の開発、それに伴うコストなど多くの課題はあるものの、2030年代には水素エネルギーを活用した新たなモノが続々と生まれている可能性も決して0ではありません。

また、「RE100電力」では、中長期的・段階的に二酸化炭素(CO2)の削減を目指す企業様に向けて、CO2削減に関するさまざまな提案・サポートを行っています。ここまでの内容を参考に、二酸化炭素の排出量削減・再生可能エネルギーの導入を検討している方はぜひご相談ください。

 


ページのトップに戻る

CONTACT

RE100電力へのお問合せ・ご相談はこちらから

メールでのお問い合わせ

ISMS認証(ISO27001)

IS772827 / ISO27001

フソウホールディングス株式会社 グループ会社